Soft Panic
日常の中に生まれる感情の機微を毒っけのあるポップな作風で表現する
ビジュアルアーティストnico ito 4年ぶりの個展「Soft Panic」開催
タイトルには、nico itoが「日常の中で感じている小さな違和感やモヤモヤをなるべくキャッチーな言葉で表現したい」という思いが込められています。
nico itoが本格的な活動をスタートさせたのは2020年から。2019年に武蔵野美術大学・空間演出デザイン学科を卒業した後、作品をInstagramにアップするようになり、フリーランスとして活動をスタート。現在はアーティストとして数々のブランドやカンパニーと協業しています。
代表例だと、2022年にリリースされたGUCCIのバッグ、gucci bamboo 1947の発売時に展開されたデジタルプロジェクトに日本人唯一のアーティストとして参加し、バンブーハンドルバッグを題材としたグラフィック作品の提供、2021年にブランド、UNDERCOVERによる「SueUNDERCOVER Meets Tokyo Millennials No.19」のグラフィックとアニメーションを担当したことなど。他にも2024年に開催された「ラフォーレ市場2024」のメインビジュアルの製作やNIKE、BEAMSなどが上げられる。現在、活動の幅を広げファッション・ブランドに留まらず、テレビ番組や広告など多岐に渡っています。
nico itoは非現実的で幻想的なデジタルアートを表現し、不思議な不気味さを伴った作風と独特の世界観によって人々を魅了してきました。デジタルで描かれたような立体的な質感の中に、筆跡やレトロな絵本風の構図を落とし込み、アナログ感のあるノスタルジックな表現を展開してきました。nico itoは制作をする上で、次のような意識を大切にしています。
「起きた出来事をそのまま描くのではなく、別のキャタクターやモチーフを主役にして再構築しています。今回の展示ではネガティブめな感情がもとになっている作品が多いのですが、不穏さは残しつつ重くなり過ぎないよう、ポップで親しみやすい表現をしているつもりです。また、キャラクターはどんな表情でも”愛おしさ”が生まれるように意識しています」。
ストレートに描くのではなく斜め横から捉えたような表現がnico itoの作風です。そのルーツにあるのは、自身の子供時代に遊んでいたパソコンのゲームやお絵描きソフト、チープなGIFアニメが満載の手の込んだ謎のWebサイトといった、90年代後期から2000年代初頭の頃にあったコンピューターグラフィックです。
「ポップでありながらも、意図せずに醸し出されている不穏さ。その絶妙なバランス感で構築された世界観が今思うととても魅力的です。当時感じた“楽しいのに、どこか具合が悪い気がする”感覚を自分の作品でも表現したいと思っています」。
4年ぶりの個展となるnico ito。その作品をご高覧いただき、彼女ならではの視点で語られるストーリーを感じ取っていただければ幸いです。