BUY OR DIE

死生観をパンクな切り絵で色鮮やかに表現したペーパーカットアーティストSatoshi Miyataの個展

 

Satoshi Miyataは切り絵で作品を作るアーティストです。数々の紙が緻密に組み合わされ、1つのモチーフを立体的に構築しています。また、素材となる紙を“染めて組み直す”という点も、Satoshi Miyataならでは。和のテイストを感じさせる作風も特徴的であり、その独創的なスタイルは音楽やファッションのシーンなど幅広く受け入れられています。2015年にはファッションブランド「blackmeans」からのオファーを受け、アート提供を行なった背景があります。また、ハードコアパンクバンド「BRAHMAN」が2018年にリリースされたアルバム『梵唄 -bonbai-』においては、アートワークを担当。BRAHMANとの協業については、他にもTシャツやデザインを手掛けてきた経緯があり、特にパンクなどの音楽シーンにおいて、たしかな存在感を放っています。

 

氏が表現を行う上で切り絵に辿り着いた理由は、自らのアート的なスタイルを確立するためであり、「書いた下絵の塗り分けが面倒で、下絵をバラバラに切って元に戻した」ことが、今のパズルのように構築していくスタイルのきっかけになりました。そもそも、自分らしい手法を模索することになった理由は、90年代〜2000年代のストリートカルチャーにあるインディペンデント性や個性に大きな影響を受けたことが背景にあります。

 

ある意味、偶然と必然が絡み合うことで現在の作風が生まれたことになりますが、Satoshi Miyataは、切り絵自体にある独自の立体感や、カッターで切断することで生まれる線の生々しさに魅力や可能性を見出しています。また、前述の通り、自ら紙を染め上げることで色の重みを表現しているところも他にない特徴だと言えます。

 

今回の個展タイトル『BUY OR DIE』に込めた理由について、作家は次のように語ります。

 

「そのままの意味で、買うか生きるか、という意図を受け取っていただければと思います。生きていくためには買って消費しなくてはいけません。“death”ではなく“die”、人間はいつかは死ぬ生き物ですが、死ぬまでに何をどれだけ成し遂げることができるのか。という意味合いがあるので、決して後ろ向きな意味合いではなく、自分なりに前向きなメッセージを込めています。1つ1つのメッセージ等を想像してもらいつつ、単純にキレイだなと感じてもらえたり、ワクワクしてくれたら嬉しいです。生きていればいつか死ぬし、いつかは何も作り出すことができなくなるので今を精一杯に! BUY OR DIE」。

 

目を惹くキービジュアルはUKの80’s ハードコアパンクバンド、Dischargeが1981年に発表した名盤『NEVER AGAIN』のアートワークをサンプリングしたもので、そのモチーフを日本らしいもの(雉とリボン)に変えて表現しています。ここにはSatoshi Miyataが、今の日本に対して思うことを落とし込まれています。今回、展示される作品では、作家の死生観が表現されていますが、決してナーバスなアプローチに偏らないよう、明るい色遣いで作品を構築し、また紙以外の素材を紙と同様の手法で用いて、ユニークな形に仕上げました。展示されている作品が放つ力強いメッセージを受け止めてください。